国家が財政破綻するとどうなるか?
という疑問があるかと思います。
このページでは、国家が財政破綻した際の救済策4つについて…、
▼国家が財政破綻した際の救済策は4つ
- 1.IMF(国際通貨基金)により、救済される
- 2.信用不安により、取り付け騒ぎが起きる
- 3.預金封鎖や、資本規制がおこなわれる
- 4.債務の再編がおこなわれる
これらの内容を、それぞれわかるように解説をおこないます。
国家が財政破綻すると、どうなる?
▼国家の財政破綻とは?
国家の財政破綻とは、政府が予算を使いすぎたことにより、国債による借金を返済できなくなる状態のことです。
▼国家は国債(借金)により、運営されている。
国家は、国債(借金)により、国民から前借りして①公共インフラの整備や②公務員の給与支払いをおこなっています。
▼国債(借金)が返せなくなると、国家が破綻する。
かんたんに言えば、政府がお金を使いすぎ(外貨建ての国債を発行しすぎている)状況になると、借金を返せなくなり、国家が破綻します。
これが、国家の財政破綻です。
国家が財政破綻した際の救済策は4つある
国家が財政破綻すると、一時的に国家としての信用を失い、経常収支改善にむけて、条件付き(コンディショナリティ)のIMF・諸外国からの融資を引き入れ、金融再編・企業再編がおこなわれます。
▼国家が財政破綻した際の救済策は4つ
- 1.IMF(国際通貨基金)により、救済される
- 2.信用不安により、取り付け騒ぎが起きる
- 3.預金封鎖や、資本規制がおこなわれる
- 4.債務の再編がおこなわれる
国家が財政破綻すると、一時的に国家としての信用を失い、経常収支改善にむけて、条件付きの融資を引き入れることになります。
1.IMF(国際通貨基金)により、救済される
IMF(国際通貨基金)とは、アメリカが17%、日本が6.5%、中国が6.4%、以下ヨーロッパ諸国やサウジアラビア等がシェアを持つ国際団体であり、
財政破綻した国家を、
条件付き融資により救済する
ことを主な目的としています。
一時的に国債の利払いができない債務不履行(デフォルト)に陥り、通貨危機に瀕した国家は、IMFや諸外国(アメリカ・日本・中国・オーストラリア・等)からの条件付き融資を引き入れることで、財政再建を目指すことになります。
IMFによる救済(政府への融資・貸付)の条件としては…、
IMF貸付条件(コンディショナリティ)具体例:
- 経常収支赤字を削減(経常収支黒字化)
- 回復可能性のない金融機関の閉鎖(大規模な集約化)
- 資本及び貿易の自由化(外国人買い入れ・融資の許容)
- 財閥による過剰債務の解消・事業の選択と集中
- 企業構造・財務の健全化(業界再編)
このように、大規模に金融再編・企業再編および、債務の削減・外資受け入れにより、国内における利権を整理して市場を健全化することがIMFによる貸付条件(コンディショナリティ)の具体例となります。
また、世界的に大規模な財政破綻の具体例としては…、
▼アジア通貨危機 – 1997年
- タイ 1997年 バーツの大幅安、株価大暴落、外資による不動産バブル崩壊。(→IMF、世界銀行、アジア開発銀行、日本、中国、オーストラリア、香港、マレーシア、シンガポールから借入)
- 韓国 1997年 通貨危機(財政破綻の危機)- IMFからの緊急支援の受け入れ。株価大暴落、大幅ウォン安。不良金融資産処理のブリッジバンク設立。2001年にIMF支援体制から脱却(借入を全額返済)。
- ロシア 1998年 通貨危機。大量の銀行破綻。IMFの支援を受け入れるも、状況は改善せず。2003年の原油価格の上昇まで経済停滞。
このように、アジア通貨危機では為替がドルペグであったアジア諸国を中心に、大規模な通貨危機が引き起こされ、多くの国が通貨危機による財政破綻に追い込まれました。
国家が財政破綻しても、改革後は存続する
タイ・韓国・ロシアは、1997年~1998年のアジア通貨危機で国家が財政破綻しています。しかし、IMFや諸外国による条件付き(コンディショナリティ)の融資を引き入れ、現在は普通に国家として存続しており、国民も生活を続けています。
財政破綻というのは、一時的に国家(政府)が借金を返せなくなっている状態のことであり、
- ①社会保障を減らし、利権を調整する
- ②金融再編・企業再編・外資の引き入れをする
- ③債務整理・債務の再編
これらの経済再編をおこなうことで財政収支を黒字化し、その後は国家がこれまで通り存続することとなります。
2.信用不安により、取り付け騒ぎが起きる
国家(政府)が財政破綻になると、通貨が信用不安により暴落するため、取り付け騒ぎが起こることがあります。
国民が不安になると
取り付け騒ぎが起きる
国家の財政破綻(債務不履行)がニュースになると、自国通貨の価格が国際市場で売られて暴落するため、国民は不安になり銀行に押し掛けます。
これが信用不安です。
3.預金封鎖や、資本規制がおこなわれる
信用不安になり、通貨の価格が暴落すると、月50%の物価上昇がおこる”ハイパーインフレ状態”になり、市場への資金の流通量をコントロールするために預金封鎖や資本取引規制がおこなわれます。
物価上昇率が月50%のハイパーインフレ状態→通貨の信用不安になり、市場で通貨価格が暴落している状況。人々は、お金の価値がなくなる前に、必要なものを購入しようとします。→これにより物価が急上昇し、通貨の価値が暴落します。
▼預金封鎖
国民の預金を封鎖(一時的に凍結)することにより、市場で出回る通貨の量をコントロールします。通貨量を減らすことで「インフレ=物価の上昇」を防ぐ目的があります。
▼資本取引規制
国家(政府)が財政破綻に陥ると、信用不安により海外投資家は急激に資産を売り払い、資本を海外に逃避させる行動をとります。
これにより、国内の不動産価格や株式価格の暴落を引き起こすため、資本取引規制により海外への資本の逃避を抑制し、不動産や株式価格の暴落を防ぐ目的があります。
4.債務の再編(減額)がおこなわれる
国家が財政破綻に陥ると、国家(政府)の運営が困難となり、国債を返済できる見通しが立たなくなります。
債務を再編(減額)する条件として、債務国は根本的な財政政策の見直しや厳しいペナルティを課されることとなります。
日本は国家破綻(財政破綻)するか?
A.基本的にはしないが、問題はある。
日本国債は、日本円建てで発行されています。ですから基本的には財政破綻しません。日本経済は日本国債により成り立っている。
国債を発行しまくるとインフレになり、増税をしまくるとデフレになる。
ただし、実体経済のインフレはコントロールする必要がある。
B.急激なインフレに注意が必要。
日本国債は、諸外国・先進国と比べて大量に発行されている。市場経済が活性化しない状態のまま、国債が大量に発行され続ければ日本円の通貨の信用が低下し、大幅で急激な円安、金利上昇、ハイパーインフレが起こる可能性がある。
日本政府の歳入と歳出(財務省HPより)
おもに消費税を増税し、年金などの社会保障費を削減します。
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